先日(2025年4月9日)、思いたってX(旧Twitter)で、こんなアンケートをしてみた。
家庭連合(旧統一教会)の信者に対し、キリスト教の牧師や脱会屋によって拉致・監禁され、強制的に棄教を迫られるという被害があったかどうかを問うアンケートをXで実施した。統一教会信者全体では、これまでに累計4300件以上の拉致監禁被害があったとされており、X上におられる信者の中でどの程度の被害者がいるのかを知りたかったからだ。
アンケートはXの仕様上、最長が1週間なのでMAXで設定。結果は予想を超えるもので、その数字はすでに投稿上で可視化されている。
今回はその結果から見える拉致監禁被害の規模感や、この問題の捉え方について、簡単に考察してみたい。
Xにおける拉致監禁経験者のアンケート結果は?
改めてお伝えすると、X上で1週間の期間で行ったアンケート結果は次の通りとなった。

投票期間(2025年4月9日〜16日)
投票数:286人
拉致監禁被害あり:23.4%
なし:76.6%
拉致監禁被害者数:67人
投票は「あり」と「なし」の2択のため、その割合から算出することで、「あり」の方をクリックした人数がわかるが、それが67人だ。
また、拉致監禁被害は1980年代〜90年代に多く集中していたことから、被害に遭った当事者の多くはすでに高齢となっている。Xを利用していない、あるいは操作に不慣れな方も多いと考えられる。そのため、今回のアンケートでは当事者本人に加え、親から被害の話を聞いた可能性のある二世の方々も投票クリックをお願いする対象として含めた。
アンケート結果から考察できること
投票数の286人という人数は妥当か
アンケートを行った当時、X上で何らかの形で活動している信者アカウントは、多く見積もっても2,000人〜3,000人程度ではないかと感じていた。これはあくまで私の肌感覚で、実際にはもっと多い可能性もある。
その中で286人が投票したという結果は、決して多いとは言えない。ただXの投稿はすぐに流れる上、私自身フォロワーは3,000人強で投稿頻度も低め。若い世代へのリーチも限られていると自覚している。
また、Xのアンケートは気軽なものなので、「拉致監禁の経験がありますか?」と聞かれても、経験がない人がわざわざ「ない」を選ぶとは限らない。一方、経験が「ある」人は、投稿を見かけた際に積極的に投票した可能性が高いだろう。
少々文章が長くなってしまったが、そうした事情を踏まえれば投票数286人というのは、妥当な範囲と捉えている。
アンケートを行った最大の目的は人数を知ること
私がこのアンケートで知りたかったのは、投票総数でも、「拉致監禁の経験あり/なし」の割合でもない。投票数がそれほど多くならないことは初めから想定していた。
そのうえで、X上で実際に拉致監禁の被害にあった信者や、その家族がどれほどいるのかを把握したかったのだ。
その結果、「経験あり」と答えた人数は67人だった。
拉致監禁の被害者数「67名」をどう捉えるか?
では、アンケートで「拉致監禁の被害あり」と答えた67人という数字をどう見るべきか。
本来は、統一教会信者の拉致監禁被害が実際に4,300人以上存在するという事実を、この数字から裏付けたいという思いもあった。ただ、そのためには様々な要素を考慮に入れた分析が必要で、単純に数字を使って説明するには限界がある。そこまで納得感のある形で提示するのは難しい。
だからこそ、ここではまずシンプルに「67人」という数そのものに注目したい。
冷静に考えても、この数字は明らかに多すぎる。信仰を理由に、本人の意思に反して拉致・監禁し、棄教を強要するなどという行為は、常識的に見て非現実的で異常だ。たとえ被害者が数人であっても重大な問題なのに、67人もの人が「経験あり」と回答しているのだ。
実際、一部の牧師グループが数百人単位で信者を拉致・監禁していたことは、加害者側自身の証言からも明らかになっている。こうした行為は1966年頃から2000年ごろまで続き、とくに1980年代後半から90年代前半にかけてがピークだったとされる。当時被害に遭い、その後脱会や再び信仰に戻った信者の多くは、今では高齢となり、亡くなられた方や信仰を離れた方も少なくない。
そう考えれば、「67人」という数字の背後には、当時被害に遭ったもっと多くの信者たちの存在が透けて見える。
正直なところ、X上に拉致監禁の被害者がいても20〜30人程度だろうと予想していた。しかし実際にはそれを大きく上回った。
やはり、このような辛い経験は他人に簡単に話せるものではなく、今も声を上げられずにいる人が相当数いるのだろうというのが、今回のアンケートを通じて得た実感である。
体験談が凄かった
そして何より印象的だったのが、アンケート投稿のリプライ欄に寄せられた体験談の数々だ。
簡易的なアンケートという性質上、詳細に語られる雰囲気ではなかったはずだが、それでも寄せられた証言──ご本人の体験や、身近な人から聞いた話など──の中には、短い一言の中に、非常に衝撃的な内容も含まれていた。
いくつか印象的な例を挙げてみる。
■17人の拉致監禁被害者を知っている
■前を歩いていた姉妹が連れ去られた
■突き飛ばされた隙に親しい姉妹が連れ去られた(母親の証言)
■反対派から実家に勧誘の電話があった
他にも様々な意見があるので、ぜひ詳細はツリーから辿って確認してほしい
拉致監禁問題への気づきを

Xで行った簡単なアンケート調査で、「拉致監禁の被害あり」と答えた人は67名に上った。これは現在X上におられる信者、それも一部の投票による数字であり、その背後には実際に4,300人以上の拉致監禁被害者がいる。
この数字は、統一教会信者が長年にわたり受けてきた深刻な人権侵害の実態を物語っている。X内の限られたアクティブ層の中からこれだけの人数が可視化されたという事実は、この問題がいかに根深いかを示している。
確かに、統一教会という組織には様々な問題があるかもしれない。だが、だからといって強制的に拉致・監禁し、信仰を棄てさせるような行為が許されるはずがない。
しかも、脱会屋は親を前面に立てることで、警察は「家庭内の問題」として扱い、ほとんど介入しないという歪な構造がある。
宗教的マイノリティに対する偏見と迫害をなくすためにも、一人ひとりがこの問題に目を向け、関心を持ち、意識を高めていく必要があると思う。
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