米本和広「我らの不快な隣人」統一教会から救出されたある女性信者の悲劇の書籍レビュー

この記事では、ジャーナリスト米本和広(よねもと かずひろ)氏によって書かれた次の書籍についてレビューしていきます。

「我らの不快な隣人」統一教会から救出されたある女性信者の悲劇

現代の日本では、信教の自由が日本国憲法で保障されています。にも関わらず、ある宗教を信仰しているというだけで、拉致監禁され、非人道的な扱いを受けた上で強制的に改宗を迫られるという理不尽な悲劇。それも少ない数ではなく、決して許される行為ではありません。その実態を著者が公正な立場から取材して書かれた本ですが、信教の自由、人権とは?について非常に考えさせられます。

目次

「我らの不快な隣人」とは?著者米本和広氏について

米本和宏(よねもとかずひろ)氏は島根県生まれのフリーのジャーナリストでありルポライター。新宗教・カルト関係についての取材を数多く行っています。

この記事で紹介する「我らの不快な隣人」以外にも以下の著書があります。

  • 「カルトの子―心を盗まれた家族」
  • 「平成サラリーマンのサバイバル白書」
  • 「大川隆法の霊言―神理百問百答」
  • 「洗脳の楽園―ヤマギシ会という悲劇」
  • 「教祖逮捕―「カルト」は人を救うか」

米本氏は上記著書の内容を見てもわかるように、統一教会(現家庭連合)に対しては反対的な立場の人。決して賛同している立場ではありません(賛同者のように言っている方もいますが実際は違うと言っておきます)。

ですが、統一教会反対派による拉致監禁による強制改宗のおぞましい実態を知り、現信者、元信者、統一教会反対派の勢力に対しても幅広く取材を広げ、真実をもとに是々非々の立場で書き上げたのが、「我らの不快な隣人〜統一教会から救出されたある女性信者の悲劇〜」です。

2008年(平成20年)7月に出版されました

米本和広氏「我らの不快な隣人」の概要

本の目次

米本和宏氏「我らの不快な隣人―統一教会から「救出」されたある女性信者の悲劇」の本の目次は次の通りです。プロローグとエピローグを挟んで2部に分かれています。

プロローグ いい子になるから迎えに来て
主な登場人物

第一部:麻子の物語
統一教会信者の主な拉致監禁事例
第1章 四つの断章
第2章 私は統一教会信者です
第3章 あーちゃんを探さなきゃ
第4章 家族ごっこ
第5章 まだ原理を信じているのか
第6章 引き裂かれた家族
第7章 剥がれたメッキ

第二部:カルトと反カルトの間で
第8章 暗い歴史
第9章 野犬狩り
第10章 再生か解体か
第11章 借金集団
第12章 信者とは誰か
第13章 水面下の攻防
第14章 韓国に渡った花嫁たち

エピローグ:誰が家族を壊すのか
あとがき

本の概要について

統一教会(現家庭連合)側の発表によれば1966年から現在までの間に統一教会信者を狙った拉致監禁事件が4300件以上発生しています。そのうちの7割以上は無理な脱会説得による強制改宗を迫られ棄教していると言われており、とんでもない人権侵害、宗教迫害です。この本では統一教会(現家庭連合)反対派による拉致監禁による脱会説得による強制改宗の実態とその悲惨な影響について米本氏による実際の取材をもとに書かれています。

最初に

最初に登場人物を一覧で紹介していますが、40〜50人くらいはいるでしょうか。統一教会の元信者、現役信者、韓国の統一教会の信者、そして拉致監禁で脱会説得を行った日本基督教団の牧師やその協力者等が数多くあげられていることから、米本氏は決して一方の意見に偏らず幅広い視点に立って取材していたことがわかります。

第一部について

第一部は、拉致監禁による脱会説得で統一教会の信仰を強制的に改宗させられた「麻子」という元信者の方を軸に物語が進められます。

米本氏によれば、強制改宗で統一教会を脱会済みの元信者は拉致監禁を行った反対側の人間になっている。そのため、そうした元信者の話だけを聞いても公正中立な取材とは言えない。

そこで統一教会側にも、拉致監禁を行った反対派側にも、両方に対して批判的な立場の人間に取材することが公正中立の立場からは必要。そこで「麻子」をある筋から紹介され、細かく取材した内容が第一部のメインとなっています。

本書では麻子さんが統一教会(現家庭連合)の信者になった経緯から、親が日本基督教団の反対派牧師とつながって拉致監禁を行い、脱走して合同結婚式に参加して幸せになれるはずが、また拉致監禁されてしまい、結果的に棄教することになった(結婚も解消)。

その間どのようなひどい扱いを受けたか。そして脱会したあと、脱会を指南した日本基督教団の牧師からどのような活動を強いられたのか?家族との関係は?麻子はその後どうなっているのか?また麻子と関係のある他の脱会者の話も出てきます。

これが現代日本で本当におきたことなのか?非常に重たい話が続きます。

第二部について

第二部は、麻子さんに起きた出来事は何故おきたのか?特殊なことなのか?普遍性のあるものなのか?について、取材から米本氏が考察されている内容になります

アメリカやヨーロッパで行われていた強制改宗の動きと比べても、日本基督教団が組織的に行っていた拉致監禁の実態は想像以上にひどく驚愕です。そうした拉致監禁による強制的な説得活動の具体的な方法等も描かれています。

そして第一部では書かれていない、別の拉致監禁の具体的な状況も複数書かれており、信仰を諦めさせる手段として、監禁での強制説得は何が問題なのか?について米本氏の考察もあり。

第二部の最後には、統一教会の合同結婚式で韓国に渡った日本人女性の状況や、韓国統一教会の韓国での立場なども描かれています。こちらも米本氏が直接韓国に行って取材した内容です。少し時代的に古く今は多少韓国統一教会の状況も違っていますが、マスコミの報道で言う悲惨な状況はなく、幸せに過ごしている家庭も多いこと、地域に大いに貢献している信者も多いことがわかるでしょう。

🔽 我らの不快な隣人―統一教会から「救出」されたある女性信者の悲劇

絶版の本ですが、Amazonではkindleの電子書籍で購入できます。

「我らの不快な隣人」の本を読んだ感想

拉致監禁は日本基督教団の組織的な仕業

本書でハッキリ書かれていることは拉致監禁による脱会説得による強制改宗は単発的なものではなく、組織的で極めて計画的に行われていること。その中心は日本基督教団の牧師たちであるということです。4300件も発生した拉致監禁の多くは日本基督教団の牧師が中心になっています。

日本基督教団はキリスト教のプロテスタント団体でありながら、今となっては残念ながら左傾化しています。統一教会をことさら敵対し追い詰めようとする様はさながら共産主義者の活動家であり、さらにそれ以上に過激と言わざるを得ません。

拉致監禁による脱会説得の手口と悲惨な影響

拉致監禁の手口については日本基督教団の牧師はマニュアル化しており、統一教会信者の親を巧妙に教育していました。何より驚愕するのが、拉致監禁後に行われる統一教会反対派たちの非人道的な扱いです。親や兄弟がいながらどうしてここまで非道なことができるのか?理解できないです。

日本基督教団の牧師が何人も実名で出てきますが、やり口が用意周到だしマインドコントロールの一言で誹謗中傷をするわけでとにかくひどい。他にも牧師ではないが中心的に強制改宗の活動をしていた宮村峻(たかし)がそれ以上の卑劣さ。

また拉致監禁による強制的な脱会説得を受けた信者は、その後棄教した人も、逃げ切れた人であっても、深刻なダメージを受けます。PTSDの人も多いですし、何より親や兄弟姉妹との家族関係が壊れます。日本基督教団の牧師やその協力者たちは家族関係が破綻するケースが多いことも分かった上で、それでも拉致監禁を正義と勘違いし続けていたというのがまさに偽善の域を大きく超えて恐ろしさを感じます。

脱会したら強制改宗の活動に従事させられる

拉致監禁による脱会説得を受けて強制改宗させられた信者はその後どうなるのか?そこで終わりではありません。さらに統一教会信者の強制改宗活動に参加を強要されるわけです

強制的に脱会説得をさせられる統一教会信者は、そこから逃れるために偽装脱会をすることがあります。それを阻止するために何重もの”踏み絵”をするのが反対派のやり方。その一つが拉致監禁の手伝いや脱会説得に従事する役割を担わされるわけです。他にも様々な踏み絵的なことをさせられるのが本当におぞましい限りです。

全国弁連・一部学者・ジャーナリストの欺瞞

米本氏はもともと反カルトの立場のジャーナリストであり、統一教会についても批判的な立場の人。なので全国霊感商法対策弁護士連絡会(略して「全国弁連」)の弁護士や反カルト的立場の学者やジャーナリストとも近い関係にありました。

しかし統一教会信者に対する拉致監禁による脱会説得(強制改宗)の取材を続けていくうちに彼らとの関係性はどんどん悪くなってきたようです。そりゃ彼らとは利害が一致しなくなるのでそうなってしまいますね。

テレビでも出ている紀藤正樹弁護士や有田芳生氏はもちろん、山口広弁護士、櫻井義秀氏、島薗進浅見定雄氏等がどういう人間か?というのが書かれています。テレビやマスコミに出てくるイメージとはまるで違います。米本氏も彼らの欺瞞に憤懣やるかたない気持ちを持っていることが感じられます。本当に仮面を被っている人たちですね(もちろん良い意味ではない)。

信教の自由がこれほどまでに侵害されて良いのか?

この本を読んでとにかく思ったのが、現代日本においてここまで信教の自由が侵害されて良いのか?ということ。それも家庭連合(旧統一教会)の信者が狙い撃ちにされていたのが非常に悲しいです。

本にも書かれている「後藤徹」という信者の方は12年間も拉致監禁されました。幸い信仰は捨てることなく信念をつらぬかれましたが、解放されたあと病院の診断では「全身筋力低下、廃用性筋萎縮、栄養失調、貧血」の症状がひどかったとのこと。人権侵害の最たるものです。

非人道的な拉致監禁による強制改宗を膨大(4300件)に行ってきたのに、反対派の人たちはこれを”保護説得”だとうそぶいています。

その拉致監禁中心にいたのが、日本基督教団の牧師たち。愛を説くはずのプロテスタントのキリスト教の牧師が何故こんな卑劣で非人道的なことができるのか?そして利権をむさぼる一部の弁護士、学者、ジャーナリスト達。まさに欺瞞に満ちています。

本当のジャーナリズムは何か?について思う

米本和宏氏の「我らの不快な隣人」を読んで感じたのが、「ジャーナリストはこうあるべきだな」ということ(米本氏はルポライターとも呼ばれてますが、広義としてジャーナリストとします)。

前にお伝えしているように米本氏は統一教会には反対側の立場の人です。この著書の後、近年でも彼のブログでは家庭連合(統一教会)についての強烈な批判記事も書いており、信者側の立場からはあまり良い印象を持たれないでしょう。

ただそれは別にしても、米本氏は是々非々の立場で書いたと本文にも主張している通り、様々な立場の人から(一方的に偏らないように)幅広い対象に取材しています。なので公正中立な立場で書かれた本であることが読んでいても分かります

これこそジャーナリストの仕事

といえるのではないでしょうか?

私の立場から偉そうには言えませんが、昨今テレビやマスコミに出てくるジャーナリスト(学者、弁護士・・・)たちはあまりにも情報が偏っている人が多い。主に(おかしな)リベラル思想に偏っており、それゆえ情報の信ぴょう性、信頼性がほとんどありません。

批判や反対するのは構いません。しかし思想がかかっているとどうなるかというと、自分達に都合の良い偏った人の意見だけを聞いて伝えようとします。そこには思想がかかっているのでもう片方の意見を聞く耳を持ちません。当然ながらそれはまともな取材活動と言えないでしょう。大手マスコミはほぼみんなそうなっているのが嘆かわしいことです。

我らの不快な隣人は誰に読んでほしい本なのか?

米本和宏氏による、「我らの不快な隣人―統一教会から「救出」されたある女性信者の悲劇」についてレビューしてきました。

日本基督教団というプロテスタントのキリスト教会の牧師が何故こんな恐ろしい人権搾取を行っているのか?そして反統一教会で活動している弁護士、学者、ジャーナリスト等の多くの人がこれほどまでに欺瞞に満ちているか?この本にある内容はまさに事実であり、今となっては家庭連合(統一教会)の信者さえ知らないことも多く書かれています。家庭連合の信者に関係なく、信教の自由を考える上でぜひ沢山の方に読んでほしい

米本氏は統一教会に批判的な立場の人でありながら、この本では公正に取材をし、客観的な観点から事実を紹介しているので、米本氏の立場は抜きにしても、家庭連合(統一教会)の教会員にはぜひ読んでほしい。統一教会信者に対する理不尽な拉致監禁の事実についてこの本ほど詳しく書かれた本はありません

現在は拉致監禁は大分収まっていますが、それでもまだ続いており、警察に訴えても家族の問題とされ、まともに対応してもらえないのが現状です。拉致監禁で何とか逃げ延びた信者の方は裁判を起こしていますが、思ったほど勝訴を勝ち取れていません。

米本さんのこの本を読むとわかりますが、統一教会反対派は強制的に改宗させるために筆跡に尽くしがたいひどいことを続けてきました。これを宗教迫害、宗教弾圧と言わずして何と言えようか

全国弁連の紀藤正樹弁護士や、ジャーナリストであり元立憲民主党議員の有田芳生氏は、統一教会の信者に対する拉致監禁はほんの特殊なケースであって、ほとんどにおいては必要な保護説得だったと言っています。こんな非人道的なことが行われていたことを完全に無視したその言い分はそれこそ大いなる偽善であり欺瞞でしかありません。

日本国憲法で保障された信教の自由は何より尊いもの。何人と言えども強制的に力技で改宗を迫るような行為はあってはなりません。

ぜひ多くの方に真実を知っていただきたいです。

🔽 我らの不快な隣人―統一教会から「救出」されたある女性信者の悲劇

絶版の本ですが、Amazonではkindleの電子書籍で購入できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日本と世界の平和を願う人です。偏向報道にあふれる世の中にあって本当の意味での正しい情報を伝えていきたいと思っています。

コメント

コメントする

目次